「海の森」を救おう:高水温に負けない未来の海づくり!
豊かなみやぎの「海の森」と東日本大震災の津波による流失
宮城県は北から流れてくる冷たい水の親潮と、南から流れてくる暖かい水の黒潮がぶつかり魚がたくさんとれる海域であり、水産物の水揚げが全国第4位(令和4年、農林水産統計)の全国屈指の水産県です。
海の中で海藻が多く茂っている場所は「藻場(もば)」と呼ばれ、森のようになっています。
今から30年近く前、宮城県の海には約5,000haの「海の森」が広がっていました。
海藻類は魚やウニなどの餌になるほか、陸から流れてくる窒素などを吸収することで海をきれいにしています。
また、海藻類が茂っている藻場は、様々な生物の産卵の場や、稚魚が天敵から隠れる場となっていることから「海のゆりかご」とも呼ばれ、豊かなみやぎの海と食を支えています。
海藻が多く茂っている場所は「藻場(もば)」と呼ばれ、森のようになっています。
しかし2011年の東日本大震災の津波により、その県内の一部の藻場が流失してしまい、約30年前に約5,000haであった藻場面積は、2019年には約1,100haになっていることが分かりました。
高水温が海藻に与える影響 → 磯焼け=海藻が消滅し焼野原のような状態に!
震災により一部の藻場が失われたことに加えて、近年、冷たい親潮の南下が少なくなったり、夏場に今まで経験したことがないような高水温になったりすることで、藻場の海藻類が育ちにくい環境になっています。元々は海の中で森のように海藻類が多く茂っていた場所でも、今は全く海藻が育たず、焼野原のような状態になってしまう「磯焼け」という現象が起こっています。
県内で磯焼けになっている海域の写真です。海藻が育たず焼野原のような状態になっています。
「海の森」を復活させ、豊かな生態系を次世代につないでいく
人の手を加えて育てた海藻の苗をコンクリートブロックにつけて海底に設置します。
海の森を復活させるため、漁業者が中心となったグループでは、陸上で管理した水槽で、海藻を人工的に育て海の中に移植しています。
海草(アマモ)の種を選別している様子です。
また、市民団体の活動では、親子が海のことを楽しく学びながら海草の種を取るイベントの開催のほか、海草の苗を育て、海中に移植しています。
私たちは震災から復活し、豊かな海を未来の子供たちに残すため、「海の森」をつくり守っていきます。
子供たちと海で採取したウニ。
宮城県牡鹿半島の写真。海と森の距離が近く、豊かな陸の森から供給される栄養が海の森を育てます。
子供たちと海で採取したウニ。
宮城県牡鹿半島の写真。海と森の距離が近く、豊かな陸の森から供給される栄養が海の森を育てます。
いただいた寄附金の使い道
いただいた寄附は、これらの活動を行っている団体の「海の森」を増やす藻場造成の取組に係る活動資金に活用させていただきます。
・海藻類の苗を海底に移植する際のダイバー等の活動経費
・海藻類から種をとり、陸上で育てる際に必要な資材などの経費 等
※寄附の目標金額を超えた場合は、これらの活動をより多くの人や企業に知ってもらうための普及啓発に活用させていただきます。
「海の森」からの恵み!アワビ漁の様子
アワビ漁は、写真のように地域の漁業者が一斉に時間を守って操業をすることにより、貴重なアワビ資源を守っています。アワビ漁の方法は、箱めがねで海底をのぞき込み、竹竿などの先端に付けたカギでアワビを漁獲します。
アワビ漁が始まる日は「開口」と呼ばれ、開口日の連絡は地区内放送などにより周知されます。
開口日の早朝に多くの小舟が漁場に出てアワビ漁を行う様子は、季節の風物詩となっています。
「海の森」が地球を救う!?~二酸化炭素を吸収して地球温暖化を緩和~
海藻類は海中に溶け込んだ二酸化炭素を吸収し、その炭素を固定します。海藻類から分泌されるねばねばした成分は海底に蓄積され、その炭素は数百年単位で分解されないことが最近の研究で明らかになりました。
これらの海の生物によって吸収、固定される炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、パリ協定に基づくカーボンニュートラルの達成に向けて、注目を集めています。
県では、宮城県ブルーカーボン協議会を立ち上げ、海の森づくりをする団体への支援普及啓発を目的とした地元水族館との子供向けイベントの開催などを行っています。
今後は「海の森」づくりの活動資金を確保できるよう、固定した炭素を売買できるJブルークレジット認証の取得を目指し、海の森づくりを持続可能な活動にしていきたいと考えています。