令和の時代にもう一度“国鉄ぶどう色”をにらさきの地に
EF15形電気機関車と韮崎市
韮崎駅からほど近い、韮崎中央公園に昭和61年から保存されている「EF15形電気機関車」(以下「EF15」)。観覧用のステップが常設されていることから、容易に車両に乗ることができ、市内外の幼稚園、保育所、認定こども園等が遠足で来園したり、地域の子どもたちが遊びに来たりと多くの方々に愛されているとともに、韮崎市の人気フォトスポットの一つになっています。
当時の車体は「ぶどう色2号」が塗られていましたが37年の年月を経て、塗装の剥離や劣化が進んでいます。機関車のファンや地域の子どもたちに喜んでもらうためにEF15の再塗装と整備を進め、もう一度、韮崎の地で「在りし日の姿の電気機関車」を取り戻すため、いま動きはじめます。
塗装の劣化が進んでいる現在のEF15
EF15を見学している園児
EF15形電気機関車、5両連結での静態保存は国内で韮崎市のみ
現在、5両連結状態で保存されているEF15
EF15は、かつて中央線をはじめ日本全国直流区間の急こう配区間を、貨物列車の先頭に立ち走っていました。この機関車は、昭和61年に廃車となり、同年に旧国鉄より貸与されたもので「EF15形式198号車」のほか、「トラ」や「ヨ」を含む5両連結という、日本全国を見ても珍しい状態で今もなお当時のまま保存されています。
EF15は、車両として現存するのは3両しかなく、当時の様子を伝える大変貴重な車両です。静態保存されている韮崎は、日照時間の長さや昼夜の寒暖差で果樹栽培に適していることから、古くからぶどうの栽培が盛んで、ワイン造りにも力を入れている地域です。この「ぶどうとワインのまち」と、EF15の本来の車体色の「ぶどう色2号」には、当時の経済成長と地域の果樹経済の発展に「ぶどう」を通じたつながりが感じられます。
寄附金の使い道
寄附金は、次のとおりEF15の再塗装及び改修等に使わせていただきます。
- 外装の塗装、側面表示等外観復元、屋根等躯体修理
- 案内看板の改修
※目標額を上回った寄附金については、さらなる修繕費用に活用させていただきます。
国鉄ぶどう色のEF15から広がる、笑顔があふれる公園に
韮崎中央公園は、今後、再整備が行われ、本市の主たるスポーツ会場となる計画です。現在よりも人の往来が増えることを期待しています。その中で、EF15も当時に近い姿に戻ることで、スポーツだけでなく鉄道にも関心を持っていただき、本市の観光振興につなげていきたいと考えています。
また、公園を中心に人と人がつながり、笑顔が広がり、韮崎への関心と郷土愛が育まれ、公園を回遊する形でまちには活気が生まれる。そんな幸せの輪が広がるまちを目指していきます。本プロジェクトへのご支援を通じ、韮崎市の“その先”をぜひ応援してください。
現役時代のEF15
韮崎中央公園で汗を流す子どもたち
EF15がにらさきに保存されるまで
EF15は戦後初めて作られた貨物用・勾配区間用直流電気機関車で、昭和22年に、終戦直後の経済復興を目指し、旅客用のEF58と共に製造されました。EF58と可能な限りの機器の共通化が図られるも、車体や台車が異なっています。
EF15は全部で202両が製造されました。製造時期により大きく5つの車両グループに分けられ、全国の電化区間で貨物列車を牽引する姿が見られましたが、大半は国鉄末期に廃車されました。車両として現存するのは、韮崎中央公園のほか、大阪、群馬に静態保存されている3両のみとなっています。
韮崎駅から韮崎中央公園に移動中のEF15
韮崎中央公園の車両は、198号機で、昭和33年に東洋電機会社及び汽車製造会社により製作され、各地を転々とした後、晩年は甲府や八王子に配置され、中央本線などで活躍し、現役時代の26年間で約212万kmを走り抜けました。