通勤や通学を支える地域鉄道を後世に。地域の暮らしを支える近江鉄道線。
走る電車の音から「ガチャコン」の愛称で親しまれている近江鉄道は、創立から120年を超える全国でも最古級の鉄道として地域の人々の日常生活を支えてきました。
しかし、近江鉄道の利用者数は最盛期から半減し、経営面でも赤字が続くなど安定した運行が心配されています。
東近江市をはじめ、沿線のまちは近江鉄道とともに発展してきました。貴重な地域資源である近江鉄道線を末永く守り続けていくためにクラウドファンディング型の寄附を募集します。
通勤や通学を支える地域の鉄道を守る
線路を走る電車の音に由来した「ガチャコン電車」で親しまれている近江鉄道は、1896年(明治29年)に創業された滋賀県の中東部地域5市5町を結ぶ全長59.5kmの全国でも最古級の私鉄です。沿線住民をはじめ、年間約500万人が利用されています。
近江鉄道には全線に33の駅があり、そのうち東近江市内は最も多い13駅を有しています。通勤通学による利用が全体の約6割を占め、地域の生活を支える公共交通として欠かすことのできない地域鉄道となっています。
東近江市は、地域にとって不可欠の移動手段を守るため、また子ども達の未来を支えるために、「近江鉄道線」の再生にむけた様々な取り組みに挑戦しています。
近江鉄道は地域鉄道再生のリーディングモデル
新八日市駅舎と電車
平成6年度以降、徐々に営業赤字が深刻化してきた近江鉄道。利用者はピークであった昭和40年代の年間約1,000万人から、現在は半分以下にまで落ち込んでいます。安全輸送や老朽化対策等に要する経費も削減は難しく、事業の継続性は困難を極めてきています。
平成28年度から近江鉄道線の今後のあり方について滋賀県や沿線市町等による検討が始まり、令和元年度には活性化再生法に基づく「近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会」が設置されました。議論が重ねられる中で、「令和6年度に上下分離方式による新たな運行形態に移行」して近江鉄道線全線を将来にわたって存続していくことが合意されました。
このほか、車両や線路など鉄道施設を管理する団体として「一般社団法人近江鉄道管理機構」が令和5年1月に設立され、新たな運行形態にスムーズに移行できるよう運営体制等の協議が進められています。
左:近江鉄道全線乗車キャンペーン 右:ガチャフェス
沿線で最も駅が多い東近江市は、この間、沿線住民をはじめ、1人でも多くの人に近江鉄道に乗ってもらおうと令和2年度から近江鉄道全線乗車キャンペーンを実施し、キャンペーン期間中は普段の2倍以上の利用がありました。
近江鉄道も、改めて地域住民の方に近江鉄道の価値を感じてもらおうと、全国的に注目された「全線無料デー」を実施するなど、新たな挑戦を続けています。
利用しやすく快適な駅施設に(令和4年度の取組)
五箇荘駅
近隣学校へ通学するため、多くの学生たちが利用する近江鉄道五箇荘駅。
今まで自転車駐輪場は1か所のみで、自転車が駐輪場からあふれる状態が続いていました。2学期が始まる9月に合わせ、駐輪場を新設し、今までよりも2倍以上の自転車を停めることが可能となり、快適に駅を利用できるようになりました。
さらに、既存駐輪場の塗装を行うなど、利用環境の改善を行っています。
五箇荘駅
左:市辺駅 右:八日市駅 近江鉄道市辺駅のトイレは簡易水洗化されているものの、老朽化が進む和式トイレで使いづらい状況でした。11月末に洋式トイレに更新し、清潔で使いやすい駅トイレに生まれ変わり、通勤や通学、駅周辺に観光で訪れた方にも快適に駅を使っていただけるようになりました。また、令和5年2月に近江鉄道八日市駅の男子トイレ小便器の改修も行いました。
地域鉄道のマイレール意識向上へ
昨年につづき「ガチャコンまつり2023in東近江市」と題して近江鉄道八日市駅周辺を会場に鉄道イベントが開催されました。
ガチャコンまつり
会場内では長さ30mの線路上をミニ電車が運行し、幅広い世代が楽しめるお祭りとなっています。この他にも、近江鉄道以外の鉄道会社によるグッズ販売や沿線市町からのブース出展、クイズラリーなどの催しも行われ、今年のガチャコンまつりも大いに盛り上がりました。
こうしたイベントを通じ近江鉄道線をはじめとする地域公共交通をみんなで守り育てる「マイレール意識」の向上に取り組んでいます。
また、近江鉄道や路線バスを利用して通学する中高生を対象に「近江鉄道・路線バス通学利用促進補助金」として通学を支援しています。
公共交通を利用した通学を促すことで、より多くの学生に近江鉄道線を利用してもらい、さらには地域鉄道に愛着を持ってもらうきっかけづくりにも繋がっています。
自転車を持ち込めるサイクルトレイン
電車内にそのまま自転車を持ち込める「サイクルトレイン」。鉄道沿線のサイクリングや買物、名所旧跡めぐりなど気軽に利用いただこうと平成14年からこの事業が行われています。
また、沿線のグルメや隠れた名所など豊かな自然を感じてもらおうと近江鉄道社員がおすすめする自転車の旅「ガチャRIDE」と銘打ってサイクリングコースも紹介されています。
ジャズを聴きながら車内を満喫
電車内でジャズが楽しめるその名もジャズトレイン。「びわこジャズ東近江」の数あるステージのうち、近江鉄道車内が演奏会場に変わりました。
車内では約20分間の演奏が行われ、この一風変わった取り組みに、鉄道利用者から大きな人気を呼んでいます。
車内で楽しめるイベント電車を運行
毎年夏の風物詩として運行している「近江ビア電」。近年は物価高騰等により開催が見送られていますが、車内で生ビール等が楽しめるイベント電車として人気を集めています。この他にも豊富な銘柄を取りそろえた「ワイン電車」や滋賀県内の酒蔵の地酒とあたたかいおでんを楽しみながら冬の近江路を走る「近江の地酒電車」など季節に合わせたイベント電車を運行しています。
寄附の使い道
- 近江鉄道を安心、安全に利用いただくための設備の修繕、更新費用等
鉄道で何よりも優先しなければならない安心、安全に係る費用として大切に使わせていただきます。 - 沿線住民をはじめとする近江鉄道線の利用機会の創出に係る企画、運営費用
近江鉄道全線乗車キャンペーンのように、一人でも多くの人に近江鉄道線を利用いただくきっかけとなる利用促進の取り組みに大切に使わせていただきます。