「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」で漁獲量激減でも奮闘する
漁師さん応援プロジェクト
深刻な秋鮭の不漁が続き、安心安全な食の供給が脅かされています!
かつて北海道の秋鮭漁獲量は、年間20~25万tありました。しかし、温暖化の影響もあり近年では5万t近くまで激減しています。
北海道では、遡上する秋鮭を捕獲し、採卵からふ化、稚魚の育成、放流まで一貫しておこなう「鮭の人工ふ化放流事業」を、行政と漁業関係者が一体となって長年継続しており、全国の食卓に美味しい秋鮭を届けるため、食の循環を守る努力をしています。
放流される稚魚は年間10億匹。鮭が生まれた川に帰ってくる「回帰率」は4%程度ですが、近年は地球温暖化等の影響で1.7%まで低下しており、秋鮭の漁獲量減少の主要因となっています。
しかしながら、回帰率低下の根本的な原因は解明されていませんが、私たちは鮭の資源を守るため、その量を減らすことなく放流を続けています。
鮭の稚魚が最も危険にさらされるのは、産まれた川から海へ下るときです。小さな卵から5cm程度まで育った稚魚は川で放流される際、ヤマメやウグイなどの川魚の絶好の餌となります。
無事に海にたどり着いた稚魚は1ヶ月ほどオホーツク海で過ごします。生育に適した水温は5~13度ですが、近年この適温の期間が短くなり気候変動による海洋環境の変化が稚魚の生残に影響しているとの指摘もあります。
そこで、これらの課題を解決するため河川における稚魚の生存率を高め、変わりゆく環境変化に適応できる稚魚をより多く放流する手法として、「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」に取り組み始めました。
漁が終わると優しい顔を見せてくれる漁師さん
漁獲量推移グラフ
「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」とは・・・
自然環境下では、生まれた川から海に降りるまでに多くの稚魚が命を落とします。海にたどり着いた後も、気候変動による海洋変化(海水温の変化)などの影響で生き残れない鮭の稚魚が、海で力強く生きていくためのトレーニングを行うのが「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」です。
通常、「さけますふ化場」で育生され、5cm程度に育った稚魚はそのまま川に放流されますが、この事業では、稚魚を二次飼育場の海水でさらに育生することで海の環境に適合させ、より海に近い場所に放流します。これによって、より多くの秋鮭が北太平洋の大海に旅立つことが期待されます。
左:旧市場を活用した二次飼育場 右:元気に育つ稚魚
別海町の豊かな自然環境と歴史ある秋鮭
当町は、鮭の故郷となる主な河川が4本。摩周湖の伏流水を水源とする西別川など、流域のミネラルを含んだ栄養分を海に注ぎ込んでいます。
また、海には流氷がもたらすプランクトンが豊富にあり、自然環境に恵まれた沿岸部の海は栄養豊富、魚介類にとって最高の棲み処となっています。
また、根室海峡の海は、遥か1万年前の昔から絶えず人々の暮らしが続いており、鮭を中心とした産業や文化、人の交流などが評価され『「鮭の聖地の物語」~根室海峡1万年の道程』として日本遺産に登録されています。
さらに、当町の鮭は、江戸時代(1786年頃)から、西別鮭として江戸で評判になり、徳川家への献上品に選ばれたことから、『献上鮭』として全国に知られるようになったという長い歴史があります。
別海町の水源地
江戸幕府にも献上された西別鮭
森を育み、海を守る植樹の取り組み
なぜ山に木を植えるのでしょうか?
河川は、豊かな海に栄養分を運ぶ大切な役割があります。しかし流域の土壌が枯れていると海に栄養分が行き届きません。流域に森を作ることで、落ち葉が腐葉土となり、そのミネラルが海に流れ込み、魚の餌になるプランクトンを増やします。同時に海水の温度調節や土砂の流入防止など、魚が住みよい豊かな海を守ることに繋がります。
また、河川は鮭にとって大切な故郷。成長した鮭が帰ってくる命をつなぐ場所です。森を守ることで、豊かな河川や海を育んでいくことができる・・・植樹には地域の人々の自然への感謝の意が込められています。
優しい笑顔の漁師さん
秋鮭は養殖ができない事からこの事業は大切なのです!
回転寿司でおなじみのサーモンは、アトランティックサーモンで、海外で養殖された輸入の魚です。ギンザケは、三陸海岸で養殖されたものもありますが、多くは海外で養殖された輸入の魚です。
天然の秋鮭が漁獲されるのは、日本(90%が北海道)、ロシア、米国(アラスカ)の北半球の太平洋側の限られた地域で、希少な天然資源なのです。また、秋鮭は、その成育過程が違うため銀鮭や紅鮭のように養殖ができません。北太平洋の大海を泳ぎ4年後に故郷の川に帰ってくる秋鮭は、身が締まって脂がのり栄養満点、イクラの粒も大きく濃厚で、養殖の鮭とは違う味覚が魅力です。私たちは、「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」を通して、『安心・安全な食』・『国産のブランド』を守っていきます。
秋鮭の定置網漁
今では貴重な道産イクラ
「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」にご支援をお願いします!
秋鮭と一緒にハイポーズ!
近年、秋鮭の不漁が続いていることに加え、物資や燃料の高騰により漁業関係者にとってさらに厳しい環境が続いていますが、全国の食卓に美味しい秋鮭を届けるため日夜奮闘しています。
早朝から漁に出かけ、日の出頃に漁港に戻ってきます。水揚げされた秋鮭は、選別され、新鮮な状態で加工場に運ばれ、皆様の食卓にあがります。
当町では、この秋鮭の食の循環を守るための新たな取り組みとして、「秋鮭の稚魚の二次飼育事業」を推進して参ります。日本の食卓に、栄養満点!みんな大好き秋鮭(イクラ)がこの先もずっと継続してお届けできるよう皆様のご支援、ご協力をお願いします。
定置網を引き上げる様子
寄附金の使い道
皆様からいただいたご寄附は、秋鮭の稚魚の二次飼育事業に活用させていただきます。
- 町内4箇所の二次飼育施設で、強い稚魚を育てるための給餌費用、施設管理費用など
- 秋鮭の稚魚の保護・調査費用
※寄附の目標金額を超えた場合は、漁業水産関係事業者を支援する事業に活用させていただきます。
鮭は栄養満点!免疫効果を高める!?
鮭は、白身魚です。特徴としては、高たんぱく質で、生活習慣病に効果があるとされるEPA(エイコサペンタエン酸)や脳の発達や視力低下の予防に効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)、丈夫な骨を作る働きのビタミンDも豊富に含まれています。ビタミンDには免疫力を高める効果もあり、秋鮭は栄養満点な食べ物なのです。
鮭が赤い身を持つ理由は、餌となる甲殻類のエビ(オキアミ)に含まれるアスタキサンチンの色素によるものです。このアスタキサンチンは抗酸化作用があり、免疫力強化、疲労回復、美肌効果があると言われています。
イクラを食べたら尿酸値が高くなる…という都市伝説!?
イクラは鮭の卵であることから、「プリン体が多い」「コレステロールが多い」と言われて、多くの方々が「体によくない食べ物」と誤解しているようです。実はイクラは、たいへん体に良いヘルシーな食べ物なのです。
尿酸値が高まる要因の一つにプリン体がありますが、実はイクラはプリン体が少ない食品なのです。健康食品の代表格「納豆」は、100gあたり113mgのプリン体を含みますが、イクラはたった3mgです。因みにタラコは120.7mg、明太子は159.3mgで、同じ魚卵でも違うことが分かります。また、魚卵に含まれるコレステロールは、多価不飽和脂肪酸という種類で陸上の動物の卵とは異なります。特にイクラには健康に良いEPAやDHAが多く含まれ、その効能は、「悪玉コレステロールを減らし、血をサラサラにする」「中性脂肪を減らす」働きがあり、成人病予防、老化防止など多くの効果が挙げられています。