「JAZZの街・根室」
これまで、日本を代表する数多くのジャズプレイヤーが根室でコンサートを開催し、中でも、1976年のコンサートはレコード化され、70年代の日本人ジャズレコードを代表する1枚となっています。ジャズ雑誌に毎月のように根室の記事が掲載され、NHKなど多数メディアにも取り上げられ、根室は、全国のジャズファンにとって刺激的な存在でありました。
この根室のジャズ文化は5人の若者による「ジャズを根室に広めたい」との想いがきっかけとなり広まったもので、彼らの活動拠点として、1978年にJAZZ喫茶「サテンドール」がオープンし、全国のジャズファンにスウィングと潮風のコラボレーションを届け、多くの人々を根室に呼び込んできました。
しかし、かつて日本の至るところにあったジャズ喫茶は徐々に姿を消し、その存在自体が貴重となっている今、数々の歴史を刻んできた「サテンドール」も、店主の高齢化により閉店を迎えることとなりました。
このため、存続の危機にあるジャズ文化の発信拠点とその文化的価値を遺すため、地域おこし協力隊制度を活用した、JAZZ喫茶再建プロジェクトを立ち上げました。
寄附金の使い道
JAZZ喫茶「サテンドール」~地理的な最果てであっても、文化的な最果てにあらず~
「ここを目指してきました。」、「昔、根室に住んでいた時によく来ていたんです。」 遠路はるばる足を運ぶファンがこの40年間跡を絶ちませんでした。しかし、かつて日本の至るところにあったJAZZ喫茶は徐々に姿を消し、その存在自体が貴重となっている今、数々の歴史を刻んできた「サテンドール」も、店主の高齢化により事業の継続が困難となり、閉店の時を迎えることとなりました。
ジャズ文化の発信拠点としてだけではなく、喫茶店内に収められている約4,000枚のレコードは文化的価値も高く、サテンドールの閉店は、市内外の多くの方から惜しまれました。
地域おこし協力隊を活用した新プロジェクト~ジャズ文化発信拠点となる「サテンドール」の存続~
そこで、この存続の危機にあるジャズ文化発信拠点である「サテンドール」と、その文化的価値、何よりも『地理的な最果てであっても、文化的な最果てにあらず』という当時の根室の若者たちが抱いた熱き想いを遺し伝えるため、根室への移住を望む起業希望者を「地域おこし協力隊員(根室市Jazzの街PR推進員)」として全国から募集しました。
全国各地から応募がある中、事業計画に関するプレゼンテーションを経て、今回、地域おこし協力隊(根室市Jazzの街PR推進員)として棚網 宏さん、享子さんご夫婦の着任が決定しました。
「ジャズ文化の存続」という大きなミッションに挑むお二人ですが、7月13日に着任後、早速サテンドール内の改装に着手し、喫茶店のオープンに向けて精力的に活動され、9月10日無事にオープンしました。
活動スケジュール
~1年目~
7月 地域おこし協力隊として着任、事業計画確認
8月 施設改修・整備作業
9月 オープン
10月 Webサイト作成
11月 市内ジャズ関係団体との協働企画の立案
次年度以降の事業計画策定
~2年目~
ジャズ人口の裾野拡大に向けたイベント等の企画・実施
休眠ジャズファンの発掘と活性化
HP、SNS等による情報発信
~3年目~
任期終了後の自立営業に向けた準備
寄附金の活用先
「Jazzの街根室」の文化発信の取り組み 7,374千円
・サテンドール店内改修
・文化的価値の高い約4,000枚のレコードを活用したジャズの魅力発信
・ホームページの作成
・その他「Jazzの街根室」普及促進活動のための事業 など
・いただいたご寄附は、全額「根室市ふるさと応援・交流人口拡大促進基金」に積み立てし、目的達成のため活用させていただきます。
ジャズ文化を遺したい!~棚網さんの挑戦~
「東京都出身の棚網です。この度地域おこし協力隊・根室市Jazzの街PR推進員として着任いたしました。以前よりオーディオ機器やコーヒーを趣味としており、また、将来の目標として喫茶店の営業をしたいという思いがあったため、今回の募集はまさに適任と考え、応募しました。現在は、ネムロホットジャズクラブのメンバーのお力も借りながら、喫茶店のオープンに向けて店内の改修作業であわただしい日々を過ごしていますが、オープン後は根室市民の皆さんをはじめ、全国のジャズファン、サテンドールファンの方々のコミュニティスペースとしてもご利用いただきたいと考えています。生まれ変わるサテンドールとともに、根室ならではのジャズ文化を発信していきたいと思います。ご来店、心よりお待ちしております。」
JAZZ喫茶「サテンドール」前マスター 谷内田さんの思い
「JAZZの街・根室」の礎を築いた「ネムロ・ホット・ジャズ・クラブ」の事務局長であり、39年間にわたり、根室ジャズ文化発祥の地「サテンドール」を経営し、根室にジャズ文化を発信する大きな役割を担ってきた谷内田さん。
「この40年間に多くのジャズファンと出会い、プロ演奏者にも来てもらったという財産を、次世代に受け継ぐことができ大変うれしく思う。これからは、新たなサテンドールの一ファンとして来店し、のんびりジャズと語り合いたいかな。」と、安心された様子。
「棚網さん夫婦には、新たな視点で、ジャズ文化の発信を期待します。ジャズ仲間一同、全力で応援していきたい。」と、熱いエールを送ってくれました。