感謝の想いを誰かに伝える「空のポスト」づくり事業
鶉野飛行場
兵庫県南西部、播州平野のほぼ中央に位置する加西市の南東部にある鶉野(うずらの)台地には、第二次世界大戦が激化しはじめた頃に、旧日本海軍の飛行場が建設された。1,200メートルの長いコンクリート滑走路跡は、全国でも珍しくほぼ当時のまま残っており、さらに周辺に残る多くの防空壕跡や機銃座跡などの戦争遺跡と併せて、一つの場所に貴重な歴史遺産群を形成しており、現在、鶉野飛行場と呼ばれている。
加西市では、戦争の記憶を風化させず、平和の尊さを子どもたちや未来に伝えていくことが非常に大切であると考えており、鶉野の戦争遺跡を保存・活用し後世に残していくために、鶉野飛行場跡地周辺を一体としたフィールドミュージアムとして、滑走路跡及び周辺の戦争遺跡の保存・活用を進めており、全国から多くの学校が平和学習の場として、鶉野フィールドミュージアムに訪れている。
また、令和4年4月に平和ミュージアムとして地域活性化拠点「soraかさい」がオープンする予定で、全国から注目されている。
感謝の想いを伝える「空のポスト」づくり事業
「鶉野飛行場跡地を訪れた子どもたちに感謝の想いを伝えてほしい」
平和学習で鶉野フィールドミュージアムを訪れた子ども達は、戦争遺跡の見学や語り部の話を通じて、平和について学び考える。
加西市には、鶉野フィールドミュージアムで学んだ多くの子ども達から、平和な世界に生きることへの感謝の想いを綴った「手紙」がたくさん送られてくる。言うまでもなく、手紙はメールやSNSと異なり、「手書き」の持つ豊かな表現力や温かみを活かして、より感謝の想いを相手に伝えることができる。
加西市では、「この想いを“感謝の想い”として、鶉野の地から、直接一番大切な人へ伝えてほしい。」との願いから、鶉野フィールドミュージアムで学んだ直後の、ありのままの気持ちを「感謝の想い」として、一番大切な人に送ってほしいと考え、平和学習直後の子ども達に「感謝の手紙」を投函するためのポストを日本郵便と連携して設置する。
さらに、かつて特攻隊が飛び立った同じ空を現在は平和の象徴として気球が未来に向けて飛んでおり、加西市では、『気球の飛ぶまち』を推進することで、過去から未来へ「空がつなぐ」平和への願いを込めている。そして、ポストのデザインには、『気球の飛ぶまち』加西市の平和の象徴である熱気球を模ったものを採用し、「空のポスト」として設置する。
その他、平和学習の促進のため、鶉野フィールドミュージアムに残る戦争遺跡をデジタル化するなどアーカイブ化して、遺跡の保存や利活用を図る。