「10年間の教育実践を書籍にまとめ、町の未来を担う人材を育てるための応援の輪をさらに広げたい!」
津和野町では、高校の廃校の危機をきっかけに、教育魅力化の取り組みを本格的に初めてから10年以上の歳月が流れました。
現在では、全国から津和野高校の入学を希望する子どもが集まり、寮も満室になり、居室が足りない状況も出てきています。
今では高校だけなく、「0歳児からのひとづくり」という町の教育ビジョンを掲げ、乳幼児期から小中高まで連携させた取り組みを進めています。
しかし、まだまだ子どもを取り巻く環境づくりは十分とは言えません。限られた運営資金という予算面だけでなく、スポーツやアート、テクノロジーなどに触れる機会も限られています。津和野を離れ全国に住む出身者の方々の知識や技術、ネットワークをフルに活用して、津和野のひとづくりを進めていきたいと考えています。
今回のガバメントクラウドファンディングで支援をお願いしたいことは、これまでの取り組みを知っていただき、子どもたちの教育環境を一緒に作っていただくために、この10年間の取り組みを書籍にまとめたいと考えています。
教育現場で活動する方の声
教育魅力化統括コーディネーター 中村純二さん
石川県出身で埼玉育ち、東京や海外で教員をしていた私が、津和野町に来てコーディネーターをはじめて9年が経ちます。
取り組み開始当初、どのように魅力的な学校を作っていくか、学校・行政・住民と考える中で、学校だけで教育するのではなく、地域全体を一つの学校と捉え、「まち全体が学びの場」になるような環境づくりができないか、と考えました。
そしてコーディネーターとして学校と地域社会を橋渡しして、子どもたちは地域課題をテーマに、学校の中で学んだ理論を、リアルなテーマで実践して学ぶ「理論と実践の往復」の流れが少しずつ生まれてきました。
子どもたちが、より良い人生を送るための学びが得られるような「まち全体の学びの場」を作ってきた中で、子どもたちは予想以上に興味と自信を持って活動していました。しかし変化が見られたのは、子どもだけでなく、子どもたちに関わってきた地域の大人たちもそうでした。
子どもたちとの関わりを通して、刺激を受けた地元の若者は有志団体をつくり、出前授業や地域活動を積極的にサポートしています。高校で行われている「地域の人と1対1で話す授業“トークフォークダンス”」では70名を超える大人が参加していました。
子どもたちの成長には、周りを取り巻く大人たちの姿(主体的や対話的であるか)が、大きく影響するという調査があります。その点では、津和野は子どもを取り巻く学習環境はこの10年で大きく変貌したことが、全国から子どもが集まることにつながったのかもしれません。
チャレンジしようとする大人が増えている津和野町は、さらに素敵なまちになっていくと実感しています。
“どうせ無理”ではなく“やってみたい”が叶う町へ
地域の若者有志団体 「思うは招こう会」 阿部龍太郎さん
町の子どもたちと関わっていく中で、周りの人や子どもたちが困っている時に、「どうせ無理」でなく、「だったらこうしてみたら?」と言える大人が町に増えたら、より素敵な町になると思うようになりました。
学校と家の行き来だけになりがちな子どもたちに、地域の大人と交流できる機会を作っています。中学校や高校への出前授業だけでなく、夏休みにモデルロケットづくりなどもしました。子どもの「やりたい」を否定せず、「やってみんさい」と応援してあげたいです。
まずは大人が楽しんでいる姿を見せないといけない、と考えています。僕は自分の失敗談を堂々と子どもたちに聞かせたいですね。全然できなくても大丈夫だよって(笑)
子どもたちの価値観を広げていけるような機会をつくっていきたい
津和野高校卒業生 和歌山大学3年休学中 教育魅力化コーディネーターインターン 長田輪さん
コロナ禍で大学に行けず、オンラインでの学びに対してのモチベーションも下がっていたことや、お世話になった津和野や母校の力になりたいなと思っていたことがきっかけとなり、昨年の11月から津和野の教育魅力化に関わり始めました。
活動する中で、地元生徒の「17年間、この町で過ごしてきて、何もない町だと思っていたけど、意外といいところもあるんだなって気がつきました」という言葉が胸に刺さり、津和野の良さをもっと小さいころから感じて欲しいなという想いがうまれました。
現在は教育魅力化インターンとして町内の小中学校で活動しているなかで、町の子どもたちには、他の地域で暮らす同い年の子たちと出会う機会や、芸術・文化に触れる機会、町の外の世界を見る機会など、都会の子どもたちなら日常の中にある機会(チャンス)がないなと感じています。
滋賀県出身の私は、高校進学とともに地元を離れ、津和野町に来て生活するなかで、いろんな人と出会い、交流してきました。そのなかで得た経験が今の私をつくっているなと感じています。
インターンとしての活動も残り少ないですが、町内に住む子どもたちが様々な人との交流や体験を通して、自分の価値観や世界を広げていけるような機会をつくっていきたいなと考えています。